寺院樹木@モッコク

 

新しい年を迎え、早いもので
もうひと月が終わろうとしています。

本年最初の樹木工事。
先日、モッコクの伐採・伐根作業を行ってまいりました。

樹齢120年。
高さは住宅2階程。

住職様によると、何年も前に
樹木医に診て頂いたそうです。
しかし、回復の兆候もなく、枯死してしまい、
今回、伐根までとなりました。 

当日は、雲ひとつない冬晴れでした。
作業開始前、作業の無事を祈り、関係者全員でお祓いを行い、作業開始です。

天辺まで登って行くところですが、
今回は、枝が腐敗している可能性が有り、
上部の枝に乗ることが危険と判断。
幹の中ほどから切断開始。

クレーンで吊りながら、枝を落としていきます。

今回はいつも以上に注意を払って行いました。
以前、樹木医が診断した際に、
腐食して穴があいている部分にコンクリートを
注入していたようです。

コンクリートを充填することにより
空洞は埋まりますが、再生は難しく、
逆に害虫の住処になってしまう事もあり
現在は使われない手法ですが、
昔はよく使われていたそうです。

ぱっと見ただけでは分かりにくいですが、
右の画像 左側・・・表面はほぼコンクリートです。
   〃    右側・・・木の隙間にコンクリートが詰まっているのが見て取れます。

樹木医の治療当時からだいぶ腐食が進んでいたようで、枝だけでなく、幹からも
コンクリートの充填を確認することができました。

 
午後から開始した根の掘出し作業。
重機で一気に掘出したいところですが、
現場は重機が入れる余裕がなく、
完全手掘りでの作業となりました。

掘っても掘っても、木を支えていると
思われる有効な根が見当たらず、
掘出し作業は難航。

通常、木の根は横に伸びますが、
横に広がることが出来ず、真下へと
伸びているのでは…と言う推測も。

 

作業を開始すること3時間。
身長150cmほどの私が、肩まで
収まるのではないかと思う位となりました。

根に直接ロープをかけ、吊ること数回。
それまで、ビクともしなかった木が
ボコっという音とともに持ち上がり、
難航する作業に、険しい表情だった
職人たちにも笑みがこぼれました。

推測していた、真下に伸びる立派な根は無く
逆に真下は平ら。

モッコク-4根が埋まっていた所は深く
周りを粘土質の土に囲まれていました。
成長過程で思うように根が張れなくなり
また酸素も薄いことから、
枯死してしまったのではないかと言う
当日の樹木医の診断でした。

しかし、当時の樹木医の診断が
間違っていたわけではなく
掘り返したことに因り分かる結果論であり
木を診ることも、人を診るのと同じように
難しいと言う事がよく分かりました。


120年の間、共に生きて来たモッコクは
素敵な腰掛けへと生まれ変わりました。

住職様達も大変喜んでおり、
早速座り心地を楽しんでおられました。

 
 

樹木でお困りのことがございましたら、
お気軽に空間技研にご相談ください。
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寺院樹木@イチョウ

歳の瀬も差し迫り、色とりどりに紅葉させていた
木々も、葉を落とす季節になってまいりました。
 
この時期になると、また葉をつける季節に向けて、
枝の剪定を…とお思いの方もいるかと思います。

先日、大きくなってしまい困っていると言う
イチョウの剪定のご依頼をいただきました。

樹齢250年を超えると思います。
高さも20~30m位でしょうか。
先が曲がってきている様子がうかがえます。

 

 

傾斜のある墓地の間に生える木は、
立地的にも大きくなりすぎたと言う印象です。

しかし!
 
こういう時こそ、弊社指定の空師の出番です!

 

 
住職様とも話し合いを行い、
地上から数メートル残し、剪定を行いました。

幸い、お天気にも恵まれ、
遠くには富士山も望めるロケーション。

春に木が芽を吹き、次の春まで休息へと入るこの季節は
陽が落ちるのも早く、早朝から作業を開始します。
  
 
 
ビルに相当すると6~7階の高さだと思いますが
ベテランの空師は登って行くまでもあっという間です。

 
周りには紅葉した木々が美しく空に映えていました。
このイチョウも、長い間
そんな美しい景色を演出してくれていたことと思います。
 
  

 
今回は、クレーン等の重機は使わず、
全て人力での作業です。

周囲には、墓地や、本堂。
細心の注意を払いながら、
ロープ使い、枝を下ろしていきます。
 

全ての枝を下ろし、作業も幹を残すのみ。

太くなってくる幹は
目標とする高さまで、少しずつ切っていきます。
 

空師とは、現在のように高い建物がない時代
空に一番近い所で仕事をする人を意味しました。
今回のように、機械に頼らない強剪定こそ
空師の本領発揮だと思います。
スゴ業を見せて頂きました。

 
作業も無事に完了し、しっかりと目の詰まった年輪。
永きに渡り、このお寺様と生きてきた、イチョウの歴史を感じます。
合掌

 

樹木でお困りのことがございましたら、空間技研にご相談ください。
空師、樹木医がお客様にとって最良のご提案をさせていただきます。
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空師の背中

「空師」
・・・一般の方には耳馴染みのないこの職業ですが、その仕事は数ある伝統的な職業の中でもかなり危険を伴う、熟練者にしかできない職業です。
古来、樹木よりも高いものがほとんどなかった時代からこの職業はあり、また、その樹木のてっぺんまで登って仕事をすることから「空師」の名前は付けられました。

樹齢を重ねた巨木や崖からせり出した危険樹木など、「空師」は熟練の技で単身木に登って処置を施します。
その仕事は枝打ちから鳥の巣の除去、さらに完全な伐採、伐根まで。
どんな場所に立つ樹木でも長年培われた技で安全にこれらの作業をこなします。
高所からの枝下ろしや伐採の手際などは見事の一言に尽きます。

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